2015/01/08

21 鉤弓(ちきゅう)

本神楽の中で最も劇的で長時間を要し、道化あり、兄弟の争いあり、
そして和合し結ばれていく神々の恋愛を優雅に仕組み、
秋の夜長の夜神楽の、その舞姿は夢を見ているようです。

天孫、瓊瓊杵尊は、天照大神のご命令で日向の高千穂の峯に天降られ、
この地方の主である大山祇神(おおやまずみのかみ)の娘、
木花之開耶姫(このはなのさくやひめ)と結婚し、三人の男子を産みました。

長男を火闌降命(ほのすそりのみこと)、
次男を彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)三男は火明命といいました。

長男と次男の二人の御子は長じて兄は海を治め「海幸彦」と、
次男は山を納め「山幸彦」といわれました。

ある日二人はお互いの持ち物を交換して楽しみ遊ぶことになりました。
弟の彦火火出見尊は兄から釣竿を借り、喜んで釣りをしましたが、
なれぬ事とて一尾の魚も釣れず、ついには鉤(つりばり)を取られてしまいました。
弟は自分の立派な剣を潰し、たくさんの鉤を作り兄命に返しましたが、
元の鉤で返せと受け取ってくれません。困り果てた弟が思案に暮れていると、
一人の翁が龍宮に行けば分かるかもしれないと教えてくれました。
弟尊は龍宮に着き海神(わたつみのかみ)の娘豊玉姫と結婚し、
三年が三日に感ずる楽しい日々を送りましたが、鉤も見つかり、
兄に返すため本土に帰ることになりました。
姫は、あなたの兄は大変根性の悪いかたのようなので、
鉤を返すときは呪文を唱えて渡すこと。
また兄が許さないときには満珠(まんじゅ)・干珠(かんじゅ)の珠を使い分け、
兄命を改心させるよう話し宝珠を授けました。

尊は本土に帰り、兄命に鉤を返し、兄も改心しここに兄弟の和合が成立しました。


雄勝法印神楽 演目

01 初矢(しょや)
02 両天(りょうてん)
03 三天(さんてん)
04 四天(してん)
05 宇賀玉(うがたま)
06 岩戸開(いわどびらき)
07 叢雲(むらくも)
08 魔王退治(まおうたいじ)
09 五矢(ごや)
10 鬼門(きもん)
11 道祖(どうそ)
12 所望分(しょもうわけ)
13 蛭児(ひるこ)
14 笹結(ささむすび)
15 橋引(はしひき)
16 醜女退治(きじょたいじ)
17 空所(くうしょ)
18 順唄 (じゅんばい) 
19 日本武尊(やまとたけるのみこと)
20 白露(はくろ)
21 釣弓(ちきゅう)
22 産屋(うぶや) 
23 荒神舞(こうじんまい)
24 二之矢(にのや)
25 普照(ふしょう)
26 湯之父(ゆのちち)
27 国譲(こくじょう)
28 獅子(しし)